NPO法人日本医療政策機構(代表理事・黒川清・内閣特別顧問)が15日に
発表した「日本の医療に関する2007年世論調査報告」で、「費用的理由で歯科
医の受診を控えた事がある」など、経済力により、医療への不満や不安に2倍以
上の差がある事がわかりました。調査は、住民基本台帳から無作為に抽出した
全国4,000人の有権者(回答者1,318人・回答率33%)を対象にアンケートした
ものです。
「将来、深刻な病気にかかったときに医療費を払えない」ことに不安を持つ
人の割合は、「高所得・高資産層」の36%に対し、「中間層」74%、「低所得
・低資産層」で84%に上っています。また、「必要な時に良い医療を受けられ
るかどうか」の質問では、「あまり不安はない」と「全く不安はない」を合わ
せた割合で、高所得・高資産層が46%に対し、低所得・低資産層は24%と約半
分になっています。中間層は33%でした。
過去1年以内に費用的理由で医療受診を控えた事があるかとの質問では、「薬
を処方してもらわなかった」「具合が悪い所があるのに医療機関に行かなかっ
た」「医師に勧められて検査や治療、経過管理などを受けなかった」「歯の治
療が必要だったが、歯科医に行かなかった」の四項目で、歯の治療では、高所
得・高資産層13%に対し、低所得・低資産層40%を始め、各項目とも低所得・
低資産層が2~4倍高い割合を占めています。
現在の医療制度の満足度で、平等性の質問では、「大いに不満」と「やや不
満」を合わせた割合で低所得・低資産層は72%と高い割合ですが、高所得・高
資産層は41%と半分に近い結果でした。
*経済力の各層の分類は、平成16年全国消費実態調査(金融資産は「貯蓄現在
高」)の「年間世帯収入」及び「純金融資産」に基づく。